従業員の健康管理とMVPAについて
従業員の健康を「感覚」で管理する時代は終わったのです

― MVPAという“数字で見える健康指標”が、企業経営を変える ―
「最近、社員が疲れている気がする」
「離職がじわじわ増えている」
「メンタル不調者が出てから、対応に追われている」
多くの経営者・人事担当者が、こうした“違和感”を抱えています。
しかし実際の現場では、健康管理が感覚論のまま進んでいる企業がほとんどです。
・ストレスチェックは年1回
・産業医面談は不調者が出てから
・運動は「各自で気をつけてください」
正直に言います。
それでは遅いのですよ。
今、世界では「従業員の健康」を数値で把握し、経営に組み込む流れが加速しています。
その中心にある指標が MVPA です。
健康管理の指標としてMVPAというものがあると言うのです、何かと思い調べましたらWHO(世界保険機関)が推奨しているのは、1週間150分以上の運動に対して37%の達成度だそうです。この様に数値で従業員の健康をみることで就業時間内の適切な勤務内容も管理できたりします。
MVPAとは何か?
― 世界基準で使われている「運動量のものさし」
MVPA(Moderate to Vigorous Physical Activity、中等度から高強度の身体活動)とは、運動の強度を測定する際の指標の一つです。具体的には、以下のように分類されます。
ポイントは、「運動したかどうか」ではなく
どの強度の活動を、どれだけの時間行ったかを測る指標であることです。
中等度の身体活動(Moderate)
- 少し息が上がるが会話はできる
- 例
- 速歩
- 自転車(平地)
- ガーデニング
- 早歩き通勤
高強度の身体活動(Vigorous)
- 息が荒くなり会話が難しい
- 例
- ジョギング
- サッカー、バスケ
- 登山
- 激しいエアロビクス
つまりMVPAは、
「日常の動き+運動」を含めた実質的な活動量を表します。
WHOが示す“最低ライン”
― 週150分という数字の意味 ―
WHO(世界保健機関)は、成人に対して次の基準を示しています。
- 中等度の身体活動:週150分以上
または - 高強度の身体活動:週75分以上
または - 両者の組み合わせ
これを達成している人は、
全体の約37%程度とも言われています。
つまり、裏を返せば
6割以上の働く人が「健康リスクゾーン」にいる可能性があるということです。
これを「個人の自己管理」で片付けていいでしょうか?
MVPAが注目される本当の理由
― 健康の話ではなく、経営の話だから ―
MVPAが重要なのは、「健康にいいから」ではありません。
経営に直結する指標だからです。
① メンタル不調の“予兆”が見える
身体活動量の低下は、
- 抑うつ
- 不安
- 慢性疲労
- 睡眠障害
と強く相関します。
つまりMVPAが下がっている社員は、
メンタル不調の一歩手前である可能性が高い。
不調が表面化してから対応するのではなく、
数値で予防できるのがMVPAです。
② 就業時間内の働き方を見直す材料になる
MVPAを測定すると、こんな事実が見えてきます。
- 長時間労働部署ほどMVPAが低い
- リモートワーク中心の社員は活動量が極端に少ない
- 管理職ほど運動量が不足している
これは「根性論」では解決しません。
- 会議の詰め込みすぎ
- 休憩が形骸化している
- 業務設計そのものが“動けない構造”
MVPAは、就業時間内の業務設計を見直すための客観データになります。
③ 離職・生産性・安全配慮義務に直結する
身体活動量が不足すると、
- 集中力低下
- 判断ミス増加
- 労災リスク上昇
- 欠勤・休職増加
が起こります。
これはもう「福利厚生」ではありません。
安全配慮義務・リスクマネジメントの領域です。
MVPAは、
企業が「健康に配慮している」と説明できる根拠にもなります。
MVPAはどうやって測るのか
― 現場で使える方法 ―
導入は思っているより簡単です。
方法① アクティビティトラッカー
- スマートウォッチ
- 歩数・心拍・活動量を自動測定
- データの可視化が容易
方法② 心拍数ベース
- 心拍ゾーンで中等度・高強度を判定
- 運動指導と相性が良い
方法③ 自覚的運動強度(Borgスケール)
- 「きつさ」を数値化
- 機器を使わず導入可能
重要なのは
完璧な測定ではなく、継続して把握することです。
企業がMVPAを導入すると、何が変わるのか
Before
- 不調が出てから対応
- 管理職の勘に依存
- 健康施策が単発イベント
After
- 不調の予兆を数値で把握
- 部署ごとの課題が見える
- 健康施策が業務改善につながる
MVPAは
「健康施策をやっている感」から
「経営に効く施策」へ変える指標です。
最後に:経営者・人事へ伝えたいこと
はっきり言います。
- 健康は個人任せ
- メンタルは気合で乗り切れ
- 不調が出たら外注すればいい
この考え方は、もう通用しません。
これからの企業に必要なのは、
**「人を見る目」ではなく「状態を測る仕組み」**です。
MVPAはその第一歩になります。
社員を管理するためではありません。
社員が長く、無理なく、力を発揮し続けるための指標です。
健康経営とは、
「優しさ」ではなく
戦略です。
MVPAを人事制度にどう組み込むか
― 評価しない・縛らない・でも逃がさない設計 ―
大前提:MVPAを「個人評価」に使ってはいけない
まずここをはっきりさせます。
❌ ダメな例
- MVPAが低い社員は評価が下がる
- 運動しない=自己管理不足
- 健康目標の未達成でマイナス評価
これは確実に反発・形骸化・炎上します。
健康は「努力量」ではなく「状態」の話だからです。
MVPAは
管理指標であって、評価指標ではない。
正しい組み込み方は「3レイヤー構造」
レイヤー①【会社責任】制度設計に組み込む
レイヤー②【管理職責任】チーム指標として扱う
レイヤー③【個人】評価ではなく支援に使う
この3層で設計します。
レイヤー① 会社責任:人事制度の“前提条件”に入れる
① 人事理念・健康方針に明記する
まずやるべきはこれです。
例:
当社は、従業員が心身ともに持続可能な状態で働けることを、
企業価値の基盤と考える。
身体活動量(MVPA)を含む健康指標を、
働き方・制度設計の改善に活用する。
評価ではなく「制度改善に使う」と明言する。
② 就業時間設計の見直しルールに組み込む
MVPAを測ると、必ずこういう部署が出ます。
- 動かなすぎる部署
- 会議だらけの部署
- 管理職が座りっぱなしの部署
ここでやることは「注意」ではない。
制度側を直す。
例:
- 50分会議+10分移動・休憩を標準化
- 1日1回の短時間アクティブ休憩を制度化
- リモートワーク日は活動量低下を前提に設計
→ MVPAは「働き方の歪みを見つけるセンサー」
レイヤー② 管理職責任:チーム指標として扱う
③ 管理職評価に“個人MVPA”は入れない
代わりにこれを入れる。
✔ チーム平均MVPAの「極端な低下」がないか
✔ 健康指標を踏まえた業務改善を行っているか
✔ 不調者が出る前に手を打てているか
つまり
**「部下を走らせたか」ではなく
・・・「潰していないか」**を見る。
④ 管理職向けにこう説明する
ここ、超重要です。
MVPAは部下を管理するための数字ではない
あなたのマネジメントで
「人が動ける余白が残っているか」を見る数字だ
これを言わないと
「また人事が面倒なこと言い出した」で終わります。
レイヤー③ 個人:評価せず、支援に直結させる
⑤ 個人には「自己理解ツール」として渡す
個人向けの位置づけはこれだけ。
- 今の自分は
- 動けているか
- 疲れ切っているか
- メンタル不調のサインは出ていないか
上司・人事は中身を見ない。
本人だけが見る。(セルフケアの始まり)
これが信頼設計。
⑥ MVPA × オンライン相談につなぐ
MVPAが下がった人にやるのは「注意」ではない。
疲れてないかな!?という気遣い、診る目を養う。
✔ オンライン相談の案内
✔ 産業保健・カウンセリングへの自然導線
✔ 「問題が起きる前に使っていい窓口」
ここで初めて
MVPAが“生きた制度”になる。
そこで、「企業健康経営サポートサービス」の出番です。
人事制度に落とすときの具体フレーズ例
人事制度文言(そのまま使える内容です)
当社では、従業員の健康状態を
評価や懲戒の対象とはせず、
働き方・制度改善・支援施策のための
参考指標として活用する。
これを書けない会社は、正直やらない方がいい。
よくある失敗パターン
❌ 健康経営アピールだけして終わる(健康経営企業です!って感じ)
❌ 数値を取るだけで何もしない(収集化で終わる)
❌ 管理職に丸投げ(他人任せな企業文化)
❌ 「自己管理でお願いします」(自己責任文化)
これ、全部
従業員から一番嫌われるパターンです。
みんなで助け合おう精神が大切です。
まとめ:MVPAは「縛る道具」ではない
MVPAは
- 管理するための数字ではない
- サボりを見つける道具ではない
- 頑張らせるための指標ではない
**「人が壊れる前に気づくためのセンサー」**です。
人事制度に組み込むとは、
評価項目を増やすことではありません。
“壊れにくい会社の設計図”を作ること。
まずは、企業健康経営サポートサービスのオンライン相談導入をご検討ください。
