公益通報保護法って!?
最近法改正があったのですが、法改正内容が消費者庁から発表されています。
以下に消費者庁の内容を抜粋して掲載します。
公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和7年法律第62号)
標記法律については、令和7年3月4日に国会に法案を提出し、同年4月24日に衆議院において修正議決され、同年6月4日に参議院において可決され、成立しました。その後、同月11日に令和7年法律第62号として公布されました。この法律は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。

「それって内部告発?」いいえ、会社を守る“通報”です。
――改正・公益通報者保護法から学ぶ、企業が整えるべき“新しい常識”
こんにちは。今日は、人事や経営層にとって無関係では済まされない「公益通報者保護法」の改正について、わかりやすくお伝えします。
「通報」と聞くと、会社に不利益をもたらす「内部告発」をイメージされる方も多いかもしれません。でも本来、通報は “会社を良くするための勇気あるアクション”。
この制度は、不正や不祥事を早期に是正し、被害拡大を防ぐために重要な役割を果たしています。
■ 実際には「通報したら損をする」現実
ところが現実には、通報者が守られていないケースが後を絶ちません。
たとえば――
・兵庫県では、知事のパワハラ疑惑を通報した元幹部が特定され、懲戒処分に。
・消費者庁の調査では、「通報して後悔した」という人が30%以上。その理由の4割は「不利益な扱いを受けた」との回答。
不利益な扱いとは:
- 上司や同僚からの嫌がらせ
- 突然の配置転換
- 昇進・評価への不当な影響 など
つまり、 「正しいことをしようとした人が傷つく」構図 が残っていたのです。

■ 改正されたポイント:通報者を「本気で守る」ための変化
2022年の法改正では、こうした課題を受けて、大きく2つの点で改善が図られました。
①【保護の強化】
- 通報者の身元を特定しようとする行為を原則禁止
- 通報を理由にした解雇や懲戒処分を行った場合、企業や人事権を持つ者に刑事罰
- 解雇・処分が通報によるものかどうかは、「通報後1年以内」であれば会社側が反証責任を負う
さらに今回から、フリーランスや個人事業主も保護対象に含まれました。
②【通報体制の整備】
- 従業員300人超の企業は通報窓口設置が義務化
- 窓口担当者には守秘義務
- 行政による立ち入り検査・指導・命令、違反時には罰則も導入
研修の実施も義務付けられ、「整備したことにする」だけでは済まされなくなりました。
■ それでも“穴”は残った:配置転換と証拠の取り扱い
課題がすべて解決したわけではありません。
- 不当な配置転換(例:閑職への異動)には刑事罰の対象が明確にされず
- 証拠資料の持ち出しに対しても、窃盗などで処罰されるリスクが依然あり
また、通報と処分の因果関係を証明する責任(立証責任)は、配置転換などについては依然として通報者にあるのが現状です。
■ 社長・人事担当者に求められる「新しい姿勢」
私たち企業側が知っておくべきことはシンプルです。
- 通報者は「会社を守る味方」である
- 正しく機能する通報体制が「経営リスク」を未然に防ぐ
- 通報を軽視すれば、「SNSによる拡散」で企業イメージに致命的ダメージ
現に、今はSNSで企業の不正を告発する事例が増えています。しかしそれは、社内で安心して通報できる場がないからです。
■ 安心して通報できる環境をつくるには?
- 通報者の“顔”を追わないと決める
- 窓口担当者に適任者を配置し、守秘義務を徹底
- 不利益な対応をしないと社内で明文化・共有
- 万一に備え、社外(弁護士会など)と連携できる体制を整備

■ 最後に
通報制度は、会社の弱点を自ら修復できる仕組みです。
だからこそ、「通報した人=裏切者」ではなく、「会社を信じて声を上げてくれた人」として、感謝と敬意をもって対応すべきではないでしょうか。
これからの企業に求められるのは、
「通報を恐れるのではなく、活かす経営」。
ぜひ、制度を“建前”で終わらせず、“信頼”の基盤として育てていきましょう。
企業健康経営サポートサービスでは、外部窓口として対応も進めています。
300人以上の企業は窓口を設置する義務は法的に課せられていますが、まだ、窓口のない企業も多いと聞きます。
まずは、外部機関を有効活用して、外部窓口を設置して従業員が安心して仕事ができる体制を整えていく事が、これからの企業の責任になってくると思います。
ご不明な点はお問い合わせフォームからご質問ください。