「指示待ち社員」はなぜ生まれる?
~経営者と人事担当者ができること~
企業の現場でよく耳にする悩みのひとつに、「うちには指示待ちの社員が多くて困っている」という声があります。
実際、何かを指示しないと動かない、言われたことしかやらない――そんな社員の姿に、もどかしさを感じている経営者や人事担当者の方も多いのではないでしょうか。
では、「指示待ち社員」は、いったいなぜ生まれてしまうのでしょうか。
本記事では、健康経営支援の視点から、経営者と人事担当者が向き合うべきポイントを整理しながら、解決のヒントを探っていきます。

社長の「想い」が伝わっていないことがスタート地点
まず考えたいのは、経営者としての「やりたいこと」「目指している未来」が、社員にしっかりと共有されているかどうかです。
多くの企業で見られるのは、社長の中にビジョンや情熱はあるのに、それが「言語化されていない」「明確に伝わっていない」というケースです。
社員は、どこに向かっていいか分からなければ、当然動けません。何が正解か分からないから、指示を待つしかないのです。
まずは自分の想いを言葉にし、社員と丁寧に対話すること。
「なぜこの会社をやっているのか」「どこに向かいたいのか」「何を任せたいのか」――この根本の対話が、指示待ち社員を育てない第一歩です。
「信じる」という経営
もう一つの要素として、「社員を信じて任せることができているか?」という問いがあります。
経営者が優秀であればあるほど、「自分でやった方が早い」「ミスされるくらいなら自分でやる」と思ってしまいがちです。
その結果、社員は「どうせ社長がやってしまう」「何をしても否定される」と感じ、指示があるまで動かなくなる悪循環に陥ります。
あえて自分が手を引く勇気も、経営者に求められます。社員に任せる、待つ、信じる。そして、成長の機会を奪わない。
それができたとき、自発的に動く社員が少しずつ育っていくのです。
有能な右腕は育てていますか?
社長がすべてを把握し、すべてに目を光らせるのは現実的ではありません。だからこそ、「右腕となる存在」を育てることも重要です。
右腕がいれば、社長の想いやビジョンを現場に翻訳し、浸透させることができます。
また、現場と経営層の橋渡し役として、指示待ち社員が生まれにくい風土を作ることが可能になります。
「信じられる存在を、育てて任せる」。
これもまた、経営者としての大切な仕事の一つです。
人事担当者が担う役割
指示待ち社員が多い背景には、「評価制度の不備」も関係しているケースが少なくありません。
人事の皆さんに、以下のような問いを投げかけてみたいと思います。
社員の能力を、見える化できていますか?
見える化した能力に対して、正当に評価できていますか?
その評価は、給与やキャリアにきちんと反映されていますか?
この流れが整っていない企業では、どれだけ能力が高くても評価されないと感じた社員が、次第にモチベーションを失っていきます。
そして、「頑張っても意味がない」と思えば、指示されるまで動かない、いわゆる「指示待ち」状態に移行していくのです。

人事が「発言力」を持つことの重要性
人事が「社員の能力を評価する専門家」として、自信と誇りを持ち、社長にも堂々と意見を言える環境を作ることが、会社全体の成長にもつながります。
「人事にそんな発言力はない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、社員一人ひとりの成長と、会社の未来を支えていくために、人事が強い意志を持ち、発言できる文化が不可欠です。
歯車が噛み合うために必要なこと
「指示待ち社員が多いのは、経営者の責任だ」
「人事がきちんと評価していないからだ」
――そうやって、誰かに責任を押しつけても何も変わりません。
大切なのは、歯車のように一人ひとりが役割を果たし、信頼し合いながら動くこと。
「社長」「人事」「社員」それぞれが、自分の立場でできることを考え、協力し合う組織こそが、本当の意味で健全に回り出すのです。

おわりに:指示待ちからの脱却は「文化」の見直しから
「指示待ち社員」は突然生まれるわけではありません。
組織の文化、評価の仕組み、関係性の在り方の中で、いつの間にかそうなってしまうのです。
だからこそ、経営者と人事担当者が一緒になって、社員一人ひとりが「動きたくなる環境」を整えることが、何よりも大切です。
私たちBuonVentoでは、企業の健康経営サポートとして、経営者と人事担当者の「想いをつなぐ」支援を行っています。
誰もが生き生きと働ける職場づくりのために、今できることから、ぜひ一緒に考えてみませんか?